部下育成スキルはマネジメントスキルの中でも重要なスキルです。
マネジメントは自身で成果を出すのではなく、他人に成果を出してもらわないといけませんので、必然的に成果を出してくれる部下を育成しないといけません。
そんな中でも
・部下が育たない
・部下が成果を出さない
・部下が指示待ち人間になってる
・年上部下が言う事を聞かない
・自分が思っているような部下に育ってくれない
このように悩んでいるマネージャーや上司、管理職の方は多く存在していると思います。
このような悩みが解消されれば、部下は成果を出すことに高いモチベーションを持ち、
マネージャーはその成果によって組織の目標を達成することができます。
なので、
「マネージャーが成果を出すということ」=「人を育てる(部下育成)」
を行うということになります。
ですが、この部下育成という事が非常に難しいのです。
育成の仕方は十人十色です。
一人前になる前に退職してしまう人も数多くいます。
そんな部下育成が苦手な人や部下とどのように接していけば良いのかが分からない人に部下育成のコツを解説します。
①部下としっかりコミュニケーションを取る
部下育成にまず必要なのは部下とのコミュニケーションです。
このコミュニケーションが全ての土台になります。
基本的には仲良くない人と仕事をしていると部下は成長しません。
中には反骨精神で躍進する人もいるかもしれませんが、多くの人は嫌な人との仕事はモチベーションを下げ、仕事に対する意欲を阻害するものです。
仮に仕事内容を部下に教えてあげたとしても仲良くない人から教わった仕事には身が入らない、何か仕事にミスがあって指摘するときも部下と上司の関係性が悪いと部下はミスしたことを反省しないし、上司も部下のために責任を取ろうという気持ちになりません。
なので、部下とはしっかりと上下関係を保ちながらプライベートの相談がされるくらいの関係になりましょう。
最近はコンプライアンスが厳しいのでパワハラ、セクハラと言われない範囲になりますが。
私は部下との関係を作る場合は下記のような事を聞いて相手を知っていきます。
・趣味
・何か好きで何が苦手なのか
・休日の過ごし方
・家族の関係
・今まで何に打ち込んできたのか
・何にモチベーションが上がるのか
・お金の使い方
・最近、悩んでいること
など様々な会話から聞き取っていきます。
そうすることで仕事の相談もしやすい関係作りが可能になります。
部下は「承認」してあげる事で育つ
そんな部下とのコミュニケーションですが、
まずはマネージャーや上司は部下を承認してあげましょう。
「何をしてもモチベーションが高まらない」
なんていう人は少ないですし、
そんな人にも必ず何か強みがあるはずです。
まずはそこを上司が見つけて、認めてあげるということが大切です。
そして、それを仕事に活かせるようにしましょう。
昨今の新入社員は「自身の業務が誰かの役に立った」「自分にはこれが出来る」などの承認欲求があり、一昔前のようなバリバリ働いてバリバリ稼ぐというような思考ではありません。※全てではありません。
ですが、現在のマネージャーや上司の方はバリバリ働いてきた方が多いと思います。
価値観の違いだと考え相手の考えを受け入れてあげましょう。
上手く誘導すれば勝手に仕事にのめり込んでくれます。
ちなみに私の承認欲求が満たされるのは
「自分自身の起こした行動で誰を助けられたと感じる時」
「好成績を出すことで組織を助ける」
「上司の雑務を手助けする」
「後輩の及ばない部分を手助けをする」
かつての営業マン時代では上記の様な時に承認欲求が満たされておりました。
なので、上司の方は相手を否定せず承認してあげることから始めましょう。
②部下とビジョンを共有する
次に部下とビジョンを共有するということです。
会社に勤めると必ず目標を設定されます。
そこで疑問に思ってほしいのが「果たしてその目標は本当に自分の成し遂げたい目標だろうか?」ということです。
もちろん組織に属している以上は組織の方針には従わないといけません。
ですが、その目標はあくまでも会社から与えられた目標であり、自分自身の目標は自分自身で決める必要があります。将来のビジョンについても同じです。
「この目標を達成することで見えてくる将来の目指すべきビジョンは〇〇」という風に考えていけば良いと思います。
部下と上司とで「将来のあるべき姿」を想定し
そこにいきつくための道筋を考えていきましょう。
例えば、
将来、年間100台を売る営業マンになりたいとい部下がいたとします。
ですが、これだけではあるべき姿とは少し違います。
もっと具体的に100台売ったときの具体的なイメージが必要です。
・社内で表彰される
・今まで通らなかった意見が通るようになる
・周りからトップセールスだと称賛される
・お客様からも高い評価を得ることが出来ている
・後輩にも良い刺激になり、後輩の成長にも影響を与えることが出来ている
さらにその自分自身の目標やビジョンを達成することが組織の目標達成につながれば、その社員も組織もどんどん成長していきます。
なぜなら「自分自身の目標達成」=「組織の目標達成」ということになるからです。
③モチベーションを向上させ維持させる
部下にはモチベーションを向上させ、さらにその高いモチベーションを維持させてもらう必要があります。
一時的にモチベーションを高めることは比較的簡単です。
ですが、それを「維持」させるという事が難しいです。
そのためには下記の項目が重要となります。
適正な目標設定
モチベーション向上のためには適切な目標設定が必須です。
何故、「適正な」目標設定かというと
例えば、新人営業マンとベテランの営業マンでは能力にも知識にも差があるのに
ベテラン営業マンと新人営業マン目標設定が同じであれば新入社員の方が「何故?」と疑問や不満が出てきます。
同じ若手社員でも人によって得手不得手がありますし、仕事のスピード感も違いますので同じ目標設定ではいけません。
昨年、年間販売台数が100台の人と年間販売台数が40台の人とでは設定する目標数値が全然違います。
もちろん期待を込めて高い数値の設定をすることもあるかもしれませんが、本人の能力を大きく上回るような設定は本人のモチベーションを下げ仕事に対する意欲を低下させることになります。
目標設定の基準は全く頑張らないと達成出来ないが、少し頑張ったら達成できるという目標設定が大切です。
目標設定は「SMARTの法則」に基づいて設定すると良いでしょう。
SMARTの法則とは
- Specific … 具体的
- Measurable … 計測できる
- Achievable … 達成可能性
- Relevant … 関連性
- Time-bound … 明確な期限
これらに基づいて目標設定を行うことです。
適正なフィードバック(評価)してあげる
目標の設定が完了し行動したら次にやるべきことは、
結果に対しての適切なフィードバック(評価)です。
しっかりと成果が出せたスタッフにも成果が出せなかったスタッフにもフィードバックを行い、何が良くて何がだめだったのか。
そして、これからどうしていくのかをしっかりと公平に個人的な感情抜きで相手に伝えてあげましょう。
出来ていることはしっかりと褒めてあげて、出来ていないことに関しては「怒る」のではなく「叱る」ようにします。
上司は「怒る」と「叱る」の違いもしっかり理解しておく必要があります。
④心理的安全性の確保
次に心理的安全性の確保です。
この心理的安全性は「自分がこの場に存在しても良いんだ」という安心感です。
周囲から認められ発言や行動が自由に出来るような環境をしっかりと整えてあげましょう。
その中でも特に整える必要のあるのが、下記の項目です。
職場環境を整える
まずは職場環境です。
例えば、
・パソコンで見積もりなどを作成する必要があるのに、パソコンのスペックが悪い。
・仕事の電話をしないといけないのに、プライベートの電話で通話料金はスタッフが払っている。
・事務所が狭く汚い。
・社内の備品が壊れている。(椅子やドアやコピー機などなど)
・エアコンが効かない。使わせない。
などです。
まずはこれらの仕事の出来る環境を整えることが重要です。
働く環境というものは仕事へのモチベーションへ直結する大事なことです。
それを改善しないという事は仕事のモチベーションを下げ、成果を出さなくても良いと言っているのと同じです。
人間関係をできるだけ円滑にする
そして、次に人間関係を円滑にするということです。
会社を退職する理由に必ずあがってくるのが人間関係です。
組織として活動するということは人と人が協力しあって活動していくということです。
なので、その協力関係に摩擦があると組織としては成果は出ません。
ただ、この人間関係に関しては人と人の事なので、「この人とは合う」「この人とは合わない」という事が必ず出てきます。
なので、性格などの相性を把握し仕組みや業務フローを改善して合わない人同士ができるだけ関わらないように仕組み化する事が大切になります。
ここで重要なのは相手の文句ばかりいうようなスタッフが居たとしても、
クッション材のような役割を果たしてくれるスタッフが一人いると人間関係が上手くいきやすいです。社内で適正な人を見つけ、ネガティブ発言があった時に「まあまあ。」とネガティブな発言から方向転換してくれる人材を配置しましょう。
それがマネージャー自身でも良いですし、組織の中でそのような役割の人を見つけ出すも良いです。
労務環境を整える
次に労務環境を整えるということです。
例えば、
・労働時間が極端に長い
・サービス残業が当たり前
・休日でも仕事の電話がどんどん鳴る
・上司からのパワハラやセクハラ
・休日出勤の強要
などです。
これに関しては説明は不要かもしれませんが、
上記のような労務環境で部下がしっかりと育つ訳がありません。
部下も自身のスキルを上げたいと思わない環境です。
しっかりと適正な労務環境で無茶な休日出勤を避け、うまく仕事が回るような仕組み作りや段取りの上手さを身に着けましょう。
まとめ
さいごにまとめです。
今回は部下育成のコツについて解説してきました。
1つ目は部下とのコミュニケーションを取ること
2つ目は部下と目標やビジョンを共有すること
3つ目はモチベーションを向上させ維持させる
4つ目は心理的安全性を確保すること
です。
これら全てが出来ていないと部下が育たないということはありませんが、
全てが揃った部署や組織の新人や若手はモチベーションに燃え、自分自身のスキルアップに非常に意欲的になっていると思います。
特に最近のZ世代と言われている人達は昔の人達と違いお金やステータスより自分自身が認められているという承認欲求が強いと言われています。
なんで、マネージャーや上司はそのことをしっかりと理解した上で部下の育成に取り組む必要があります。
今回の記事を見てしっかりと部下育成と向き合うようにしましょう。